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ピックアップの原理

エレキギターで弦の振動を電気信号に変換する電磁ピックアップの原理と仕組みについて書きます。

鉄の棒にコイルを巻き,後ろに磁石をつけたものです。動作原理は,磁石の磁束が鉄の棒を伝わって弦を磁化(磁石にする事)させ,コイル側から見ると,磁極前で磁石になった弦が動くことによる電磁誘導現象で発電されます。ダイナミックマイクロホンや昔のテープやフロッピーの再生ヘッド,発電機などと原理的には同じものです。ナイロン弦のエレアコなどに内蔵されるピエゾピックアップは,圧電素子に圧力が加わると電圧が発生することを用いたもので,電子ライターの着火部などと同じものです。また加速度ピックアップなどの計測用センサーにも使われます。ナイロン弦は磁石にならないため,用いられるものですが,弦の振動そのものの速度を拾う電磁タイプとは異なり,ピエゾタイプは弦の振動を,楽器の駒を押す力として拾っている事になります。

下図に電磁ピックアップが弦の振動を拾う様子を模式的に描きます(ピックアップの後部には磁石が付けられ, 電磁ピックアップの磁極からは磁束が発生して,弦を磁化しています。その部分は煩雑になるので省略してあります)。弦の振動方向に対応した電気信号の発生の様子を描きました。ピックアップの磁極に対して弦が近づいたり遠ざかったりする運動(表面板に垂直な振動;クラシカル奏法ですとアポヤンド奏法に相当)は弦の振動周期をそのまま拾いますが,ピックアップの磁極を横切る振動表面板に平行な振動;クラシカル奏法ですとアルアイレ奏法)では,下図に示す様に弦が横に一往復する間に電圧の正負が二回おこる事が分かります。すなわち,このような弦の振動をピックアップは倍音として拾う事になります。
ピックアップは弦を磁化する役割と,磁化された弦の振動で電磁誘導起電力を発生する役割とを兼ねています。ピックアップの磁極前の前後振動には同一周波数の,磁極を横切る振動には2倍の周波数の信号を拾う事になります。

もともとギターを普通に弾いても弦の倍音は多いのですが,横切る振動はピックアップでも倍音化されているわけです。いわば,エレキギターではピックアップも楽器の一部とみなせるわけですね。

ここでは,シングルコイルについて原理的な事のみ書きましたが,ハムバッカーというダブルコイルを用いてハムノイズをキャンセルするタイプがあります。これはシングルコイルに比べノイズ特性のみならず,音色も変わってくるようです。
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